人生には「上り坂」「下り坂」「まさか」という「三つの坂」があるという言葉については「3・11」直後くらいに美輪明宏さんが女性誌で語っている記事を見た記憶がある。今その「三つの坂」について思い返せば、「まさか」についてはいい意味での「まさか」と悪い意味での「まさか」があると思っている。
私にとっての「三つの坂」でまず「上り坂」を挙げるとすればいい仕事をするため、作品を造るため勉強をしている状態と作業に入っている状態ではないかと思っている。全てにおいて物を作ること、そのことを仕事にすることは基本的に楽しくてやりがいがあると思っているためである。
「下り坂」については人間関係でトラブルを起こして調子が悪くなってしまうことであるが、そのことが仕事や作品に影響が出た時には「下り坂」の勾配も急なものになってしまうので人間関係については最新の注意を払いながら日々を送るようにしている。
二つの「まさか」について最大のものだった悪い方の「まさか」は2年前の春に私の地元・熊本を襲った熊本地震である。一番に「まさか」と思ったことを挙げるとするならば当たり前にあるとばかり思っていた見慣れた風景がが一変したことと我々熊本県民にとって財産と言える熊本城をはじめとする文化財が傷ついて満身創痍の姿になったことである。
改めて震災よりまもない頃に撮影した熊本市内の様子。この様子を見るたびに「まさか」という思いを隠さずにはいられなかった。