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携帯GPS地図『マッピー』提供ブログ用アイコン01 日韓交流の恩恵と軌跡を改めて知る

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2月上旬に熊本県立図書館へ本の返却と貸し出しに行き、図書館内が立て替え中だったこともあって臨時開館されていた「ミニ図書館」内にある検索システムで最近関心を持ち始めていた「茶道」で検索していたところ「朝鮮の茶と禅」と「茶の湯とキムチ」という本がヒットしたので、借りて読むこととした(その後もう一度読んでみたいと思い、最近再び借りて来た)。

茶の湯とキムチ (The New Fifties)

丁 宗鐵 / 講談社


※「朝鮮の茶と禅」は今日では絶版、確認出来た限りでは熊本県立図書館のみにあり

「朝鮮の茶の湯と禅」は1940年(昭和15年)に「日本の茶道社」によって刊行され、79年(同54年)に「熊本史談会」によって再刊された一冊である。
1938年(昭和13年)から39年(同14年)まで当時日本の植民地だった朝鮮半島にてアルコール飲料の飲み過ぎで健康を損ねることを少なくするため朝鮮王朝初期から「崇儒廃仏」の影響で廃れていた茶を飲む習慣を復活させて広げようと現・阿蘇市出身で全羅南道山林課に務めていた家入一雄さんが自生茶の研究のために同道光州府(現・光州広域市)一帯を回ったことを基に朝鮮半島の茶が禅とともに歩んで来たことと朝鮮半島の茶の紹介が主に書かれている。
また、この本では「成均館スキャンダル」や「チョン・ヤギョン」などの韓流時代劇に名前が登場することがある朝鮮王朝の国王・正祖(チョンジョ、最近は即位前の「イ・サン」でも知られる)に仕えた学者として知られるチョン・ヤギョン(本文中では雅号の「丁茶山」=「チョン・タサン」)も数カ所ではあるがその子孫に当たる人々とともにとり上げられている。

「朝鮮の茶と禅」で特に気になる文章があったのでこの場を借りてご紹介させていただきたいと思っている。今日では不適切と思われる言葉もあるとは思うのだが、発行された当時と今日では差別に関する考え方が違うことなどから旧仮名遣いを新仮名遣いに、旧字をを新字に訂正した意外は原文のままご紹介させていただくこととした。
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こちらの文章は前任の朝鮮総督だった宇垣一成(文中では「一誠」)が前文として寄せた文章の一節だが、特に「日本が唐宋(中国大陸)の文化を輸入したのは、朝鮮というよい媒妁(酌)人があったからである」の一節には今日まで2000年に渡って仏教や漢字、陶磁器などを朝鮮半島との交流を通じて受け入れたことを象徴する言葉ではないかと思っている。

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こちらの文章では前任の商工大臣(今日の経済産業大臣に相当)である藤原銀次郎が寄せた前文の一節であるが、日本が誇る(この文章で言う「国粋」はその国に根ざしたその国の長所や美点」あるいは「その国の国民性または国土の特徴となる長所と美点」という意味)茶の湯(茶道)において昔から重宝されている名物茶器の8割が朝鮮半島から来た茶器、あるいは朝鮮半島から渡って来た陶工とその系統の人々によって焼かれた茶器であることを示す文章である。茶道が朝鮮半島起源とする考えはさすがに否定するが、茶道も日韓交流によって発展したことを示す文章ではないかと思っている。

もう一方の「茶の湯とキムチ」では今日キムチで最も使われている食材である白菜や唐辛子が日本から入って来たことや茶道具として使われている陶磁器が朝鮮半島から渡って来たことなど2000年に渡る日韓交流を通じて得たものが多いことなどを主に書かれている一冊である。おおむねではあるが日韓交流で両国が得たものが大きいことを改めて認識するためには有意義な一冊ではないかと思っている。

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by shintaromaeda | 2015-04-03 20:34 | イラストレーション・絵画 | Trackback | Comments(0)

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